ネットショップのトップページを開いたとき、最初に目に入る場所は「ファーストビュー」と呼ばれます。ここに静止画のバナーを 1 枚置くだけのストアは多いのですが、服の揺れ方、化粧品の質感、料理の湯気のように、写真では伝わりにくい魅力を持つ商品は少なくありません。そうした商品ほど、動画で見せたほうが早く伝わります。
「シンプル動画スライドショー|お手軽動画カルーセル表示」は、Shopify のストアに動画を並べて自動で送る全幅のスライドショーを置くためのアプリです。Shopify にアップロードした動画や YouTube・Vimeo の動画を最大 5 本まで並べ、動画ごとに見出しとボタンを重ねられます。設定はすべてテーマエディタの中で終わり、テーマのコードには触りません。
この記事では、アプリの管理画面とテーマエディタの設定項目を 1 つずつ取り上げ、画面に出ていない仕様まで含めて解説します。手順だけを短く確認したい方は、unreact.jp で公開しているご利用ガイドもあわせてご覧ください。
「シンプル動画スライドショー」は、テーマに「アプリブロック」を 1 つ追加して使うアプリです。アプリストアでは英語名の UR: Video Slider & Carousel で掲載していて、開発は当社 UnReact です。
追加したブロックはテーマのセクションとして扱われるので、ホームページだけでなく、商品ページやコレクションページなど、テーマがセクションを置ける場所ならどこにでも配置できます。1 つのブロックの中に「動画1」〜「動画5」の 5 枚ぶんの枠があり、枠ごとに動画・見出し・ボタン・リンクを決めていきます。
動いているところは、デモストアでそのまま確認できます。PC で開くと横長の動画が全幅で流れ、スマホで開くと縦長の動画に切り替わります。


テーマに標準で入っている「動画」セクションは、基本的に 1 本の動画を置くためのものです。新作・定番・キャンペーンのように、見せたい動画が複数あるときは、セクションを縦に積むしかありません。このアプリなら 1 つの枠の中で最大 5 本を順番に送れるので、ファーストビューの面積を増やさずに見せる内容を増やせます。
多くのスライダーは「5 秒ごと」のように時間で切り替えます。動画でこれをやると、肝心のシーンの前に次のスライドへ流れてしまいます。このアプリは動画を最後まで再生してから次へ送るのが初期値です。長い動画だけ途中で切り上げたい場合は、上限の秒数を決められます。
横長の動画をスマホで流すと、上下に大きな余白ができて動画が小さく映ります。このアプリはスライドごとに「スマホ用」の動画を別に設定でき、画面幅 750px 未満ではそちらを出します。縦長の動画を用意すれば、スマホでも画面いっぱいに映ります。
動画を 5 本並べても、再生するのは画面に出ている 1 本だけです。隠れているスライド、画面の外へスクロールしたとき、別のタブを見ているときは止まります。外部サービスの動画は、自分の順番が来るまで読み込みを始めません。
管理画面は日本語を含む 20 言語に対応しています。スライドの中身はすべてテーマエディタの右側の設定パネルで決めるので、Shopify のいつもの画面だけで作業が終わります。
このアプリの動画は、無音のまま繰り返し流れ、再生ボタンなどの操作部品も出ません。主要なブラウザは、音が鳴る動画を勝手に再生させない決まりになっていて、音を出すと自動で流れなくなってしまうためです。音声で伝えたい内容がある動画には向きません。テロップを入れた動画を用意するのがおすすめです。
6 本以上の動画を 1 つのスライダーで回すことはできません。もっと並べたいときは、ブロックをもう 1 つ追加して、2 つ目のスライダーとして置きます。
YouTube のプレイヤーの仕様で、再生が始まってから約 6 秒間、動画のタイトルや操作ボタンが表示されます。繰り返しで先頭に戻るたびにも出ます。これはアプリからは消せません。気になる場合は、動画を Shopify にアップロードして使うと出なくなります。
スライドショーの設定値はテーマのファイルに書き込まれます。そのためテーマを別のものに切り替えると、新しいテーマでもう一度ブロックを追加して設定し直す必要があります。テーマの乗り換えを予定しているストアは、その手間を見込んでおいてください。
料金は 1 プランです。
機能の制限はなく、どちらのプランでもすべての設定項目を使えます。Shopify App Store のページから、料金と最新の掲載内容を確認できます。
インストールの流れは、ほかの Shopify アプリと同じです。


承認が済むとプランを選ぶ画面に切り替わります。どちらのプランを選んでも、はじめの 7 日間は請求されません。
このアプリが管理画面に持っているページは「設定」のひとつだけです。役割は、ブロックをテーマに追加する入口と、管理画面の表示言語の切り替えの 2 つです。動画や文言などスライドの中身は、管理画面ではなくテーマエディタで設定します。

画面のいちばん上にあるカードです。ここで「どのテーマに、ブロックを追加するか」を決めます。
ここで気をつけたいのは、「テーマに追加」を押しても、テーマエディタで「保存」を押すまでは反映されないことです。追加しただけで画面を閉じると、お客様のストアには何も出ません。

日本語で表示しているときだけ、「テーマに追加を押してもブロックが自動で追加されないことがある」という注意バナーが出ます。その下には、ホームページ以外のページに追加したいときの案内があります。
どちらも、テーマエディタの「セクションを追加」から手動で追加する方法へ誘導するものです。手順は後半の「テーマへの追加」で詳しく説明します。

画面のいちばん下にあるカードで、アプリの管理画面の表示言語を切り替えます。
言語の選択は、いま使っているブラウザにだけ記録されます。同じストアを別のパソコンで開いたスタッフの画面は変わりません。また、切り替わるのはアプリの管理画面だけで、テーマエディタの言語は Shopify アカウントの言語設定に従います。注意バナーと、右下に出る「ご利用ガイドはこちら」のリンクは、日本語で表示しているときだけ出ます。
管理画面の「テーマに追加」を押すと、テーマエディタが開いてホームページにブロックが追加されます。追加した直後の設定パネルはこのようになっています。

動画をまだ 1 本も入れていない間は、テーマエディタのプレビューにだけ「スライドに動画を設定すると、カルーセルが表示されます。」という案内の枠が出ます。お客様が見るストアには何も表示されないので、作業の途中で保存しても見た目が崩れることはありません。

テーマエディタの左側のパネルでは、追加したブロックがセクションの中に入っています。あとから設定を変えるときは、ここのブロック名か、プレビュー上の動画をクリックします。


トップページ以外に置くときは、テーマエディタの上部にあるページの切り替えで目的のページ(商品ページなど)を表示し、左パネルの「セクションを追加」をクリックします。

「アプリ」タブを開くと「シンプル動画スライドショー|お手軽動画カルーセル表示」が並んでいるので、選んで追加し、右上の「保存」を押します。ひとつのページに複数のスライドショーを並べることもでき、それぞれ独立した設定を持てます。


設定パネルを上から順に見ると、見た目(スタイル)、送り方(アニメーション)、中身(動画)、すき間(余白)、上級者向け(追加設定)という並びになっています。先に「どう見せるか」を決めてから動画を入れていく並びです。ここからは、すべての項目を順に説明します。



パソコンやスマホで「視差効果を減らす」「動きを減らす」の設定をオンにしているお客様には、自動では送りません。矢印・ページネーション・スワイプでの切り替えはそのまま使えます。
スライドは「動画1」〜「動画5」の 5 枚ぶんの枠があり、どれも同じ項目が並んでいます。動画が 1 つも入っていない枠は自動で飛ばすので、3 本だけ使うなら 3 枠だけ埋めれば十分です。1 枚目と 4 枚目だけ、のような歯抜けでもかまいません。






ヘッダーの直下に全幅で敷くなら余白は 0 のまま、ページの途中に置くなら上下に 40px 前後あけると、前後のセクションと詰まって見えません。
項目が多いので、よく使う組み合わせを 3 つ紹介します。




動画を主役にして何も邪魔させたくないときは、初期値のままが向いています。矢印は出さず、動画の下端に細い横棒が出るだけで、残り時間も棒の塗りで分かります。

アプリの設定が終わっても、流す動画が合っていないと魅力は伝わりません。ここでは、このアプリの仕様を踏まえた動画の用意のしかたをまとめます。
PC の画面は横に長く、スマホの画面は縦に長いので、同じ動画を両方で流すとどちらかで小さく映ります。このアプリはスライドごとにスマホ用の動画を別に持てるので、PC 用には横長の動画を、スマホ用には縦長の動画を用意すると、どちらの画面でも動画が大きく映ります。撮影の段階で、横長と縦長の両方を意識して撮っておくと後が楽です。
動画は音なしで流れるので、ナレーションに頼った動画は内容が伝わりません。字幕やテロップで要点を見せる、手元の動きや素材の質感など映像だけで分かる場面を中心にする、といった工夫が効果的です。見出しとボタンは動画の上に重ねられるので、動画そのものには文字を入れすぎないほうがすっきり見えます。
このアプリは動画が終わってから次のスライドへ送るので、長い動画を入れると次のスライドがなかなか見られません。ファーストビューで流す動画は 10〜20 秒ほどにまとめ、長い動画しか無いときは「1枚あたりの最長表示時間」で切り上げる秒数を決めておくと、全部のスライドが順番に回ります。
見出しとボタンは「左/中央/右」のどこかに重なります。被写体が画面の中央にある動画なら文字は左か右に、被写体が右に寄っている動画なら文字は左に置くと読みやすくなります。撮影や編集の段階で、文字を置く側に余白を残しておくのがおすすめです。

アプリを使わずにテーマのコードで動画スライドショーを作ることもできます。ここでは、Shopify にアップロードした動画を並べて、動画が終わったら次へ送る最小限の例を紹介します。
まず、テーマの「sections」フォルダに新しいセクションを作り、動画を選ぶ設定とスライドの枠を用意します。次の Liquid は、ブロックごとに動画を 1 本選べるようにし、選ばれた動画を video タグとして並べるものです。
<div class="video-slider" data-video-slider>
{%- for block in section.blocks -%}
{%- if block.settings.video -%}
<div class="video-slider__slide{% if forloop.first %} is-active{% endif %}">
{{ block.settings.video | video_tag: muted: true, playsinline: true, preload: 'metadata' }}
</div>
{%- endif -%}
{%- endfor -%}
</div>
{% schema %}
{
"name": "動画スライダー(自作)",
"blocks": [
{ "type": "slide", "name": "スライド", "settings": [
{ "type": "video", "id": "video", "label": "動画" }
] }
],
"presets": [{ "name": "動画スライダー(自作)" }]
}
{% endschema %}
この例では、video_tag フィルタに muted と playsinline を渡しています。音のある動画はブラウザが自動再生を止めてしまうため、自動で流すなら音なしにするのが前提です。スマホで全画面再生に切り替わらないよう、playsinline も付けています。
次に、表示中の動画が終わったら次のスライドへ送る JavaScript を足します。ended イベントで次の動画に切り替え、表示していない動画は止めておきます。
document.querySelectorAll('[data-video-slider]').forEach((root) => {
const slides = [...root.querySelectorAll('.video-slider__slide')];
let current = 0;
const show = (i) => {
slides.forEach((s, n) => {
const v = s.querySelector('video');
s.classList.toggle('is-active', n === i);
if (n === i) { v.currentTime = 0; v.play(); } else { v.pause(); }
});
current = i;
};
slides.forEach((s) => s.querySelector('video').addEventListener('ended', () => show((current + 1) % slides.length)));
show(0);
});
このコードは「再生が終わったら次へ」の最低限だけを書いたものです。実際のストアで使うには、さらに次のような作り込みが要ります。
テーマのコードを書き換えると、テーマのアップデートや乗り換えのたびに手直しが発生します。アプリのブロックとして置いておけば、テーマのファイルを触らずに済み、上のような処理もはじめから入った状態で使えます。
動画を見せるアプリには、画面の隅に動画を浮かせる追従動画タイプや、画像と動画を混ぜて回すギャラリー系のスライダーもあります。アプリごとの機能や料金の比較はほかの記事に譲り、ここでは、同じストアで組み合わせるときの考え方をまとめます。
このアプリはページの中に「セクション」として置く全幅のスライドショーです。一方で、画面の隅に小さな動画を浮かせて、スクロールしても残し続けるタイプのアプリもあります。両者は置き場所がまったく違うので、ファーストビューは全幅のスライドショー、商品ページは隅に浮かぶ動画、と役割を分ければ同じストアで併用できます。
併用するときは、同じ動画を両方で流さないのがコツです。ファーストビューではブランドの世界観を伝える動画、商品ページでは使い方を説明する短い動画、と中身を変えると、どちらの動画も見てもらいやすくなります。
画像と動画を 1 つのスライダーに混ぜたい場合は、画像のスライダーを別のセクションとして置き、このアプリは動画だけのスライドショーとして使うのがおすすめです。高さの設定で「小/中/大」を選べば、上下に並べたときにも高さを揃えやすくなります。
これからアプリを入れるなら、まずはトップページのファーストビューで何を見せたいかを決めてください。ブランドや新作の空気を伝えたいなら、このアプリで全幅のスライドショーを置くところから始めるのが近道です。そのうえで、商品ページの説明を補いたくなったら、追従動画などのアプリを足していく順番にすると、ページごとに役割が重ならず整理しやすくなります。
動画スライドショーを置きたいストアにとって、このアプリの価値は次の点にあります。
管理画面での作業は追加先のテーマを選ぶくらいで、あとはテーマエディタの右側で好みに合わせて詰めていくだけです。月 $3.99、年払いなら $39.99 で、最初の 1 週間は無料で試せます。動きで魅力が伝わる商品を扱っているなら、Shopify App Store から入れてトップページに 1 本置くところから始めてみてください。
当社 UnReact では、ストアの見せ方を整えるアプリをほかにも提供しています。動画スライドショーとあわせて使いやすいものを紹介します。