「この商品、いくらで出せばいいんだろう」。一点物の古着、限定コラボのスニーカー、作家のハンドメイド作品を扱っていると、値付けで手が止まることがあります。安くすれば一瞬で売り切れて機会損失になり、高くすればいつまでも売れ残ります。
そんな商品に向いているのが、お客様同士に競ってもらうオークション形式の販売です。この記事では、Shopify の商品ページでオークションを開ける日本製アプリ「シンプルオークション|お手軽競売・入札販売」について、管理画面の全画面とテーマエディタの全設定を、実際の画面を使って一つずつ解説します。
料金や画面の構成だけでなく、画面上には書かれていない仕様(いつ落札者が決まるのか、編集すると何が消えるのか)まで、アプリの実装を確認したうえでまとめました。導入を検討している方も、すでに使っていて細かい挙動を知りたい方も、気になる章から読んでみてください。
シンプルオークションは、UnReact が開発・提供している Shopify アプリです。Shopify App Store から無料体験付きでインストールでき、管理画面・ストアフロント・通知メールのすべてが日本語で用意されています。
できることを大きく分けると、次の 5 つです。

アプリストアで見つかるオークションアプリは海外製が中心で、設定画面やお客様に届くメールが英語のままのことが少なくありません。シンプルオークションは管理画面のメニューから、ストアフロントのボタン、確認ダイアログ、落札通知メールの文面まで日本語が初期値なので、翻訳作業をせずに始められます。
アプリ埋め込み(App Embed)を有効にする工程がありません。管理画面の「テーマに追加」からテーマエディタを開き、保存するだけで商品ページにオークションが出ます。テーマのコードを触る必要もありません。
オークションで意外と手間がかかるのが、落札後に「落札者だけが、落札価格で」購入できるようにする作業です。シンプルオークションは落札が決まった時点で落札価格の下書き注文を作り、その請求書へのボタンが付いたメールを落札者に送ります。支払いが無いときの催促メールや、次点への繰り上げも管理画面から行えます。
プランは Basic Plan の 1 種類だけで、機能の制限による上位プランはありません。
オークションの数や商品の数に上限はありません。無料体験の間にテーマへの追加とテスト用のオークションまで試しておくと、本番運用のイメージがつかみやすくなります。
Shopify 管理画面の「設定」→「アプリと販売チャネル」から Shopify App Store に進んで「シンプルオークション」を検索し、アプリのページで「インストール」を押します。アクセス権限と料金プランの承認画面が続けて出るので、内容を確認して承認すればインストール完了です。


アプリを開くと、左メニューに「ダッシュボード」「オークション設定」「オークション商品」「入札履歴」「顧客一覧」「メール設定」「設定」の 7 つが並びます。管理画面を日本語で表示していて質問集が用意されているときは「よくある質問」も加わり、画面右下には「ご利用ガイドは こちら」のリンクが常に表示されます。
「ダッシュボード」は、オークションの件数と最新の入札をひと目で確認する画面です。
「オークション設定」は、開始価格や期間などの条件と、対象の商品をひとまとめにしたものです。1 つの設定に複数の商品を入れると、同じ条件で商品ごとに別々のオークションが開かれます(即決も商品ごとです)。
「オークション設定一覧」には、作成した設定が並びます。

設定を削除するときは、行のチェックを入れて「オークション設定を削除」を押します。「オークション設定を削除しますか?」という確認が出て、「オークション設定を削除すると元に戻すことができず、再度設定が必要です。」と表示されるので、「削除する」を押すと削除され「オークション設定を削除しました」と表示されます(やめるときは「キャンセル」)。
🚨 削除すると、その設定に入っていた 入札・落札結果・自動入札もすべて消えます。商品のオークション表示も外れます。終わったオークションの記録を残しておきたいときは削除しないでください。
設定が 1 件も無いときは「オークション設定がありません」と表示されます。
「オークション設定を作成」を押すと「オークション設定作成」の画面が開きます。既存の設定を開いたときは「オークション設定編集」の画面になり、項目は同じです。入力すると画面上部に保存バーが出るので、作成時は「作成する」、編集時は「更新する」で保存します。「キャンセル」や左上の戻る矢印で離れようとすると「保存されていない変更があります。破棄しますか?」と確認されます。



「開始日」「開始時間」「終了日」「終了時間」を入れます。開始日の初期値は今日、時間の初期値は 00:00 です。日時は Shopify のストア設定のタイムゾーンで扱われます。終了日時は開始日時より後にしてください。
開始日時になるとストアフロントの表示は自動で「開催中」に切り替わり、終了日時を過ぎると最大 1 分ほどで落札者が決まります。

同じ商品をほかのオークション設定にも入れようとしたときは、保存時に次の確認が出ます。

自動延長は「延長時間(分)」と「判定時間(分)」の両方を入れたときだけ有効です(片方だけだと保存できません)。たとえば両方 5 分にすると、終了 5 分前以降に入札が入るたびに終了時刻が 5 分延びます。延長は何度でも続きます。即決での落札では延長しません。
🚨 自動延長で延びたオークションを編集して保存すると、終了日時は入力欄の日時に戻ります。延長中のオークションは、なるべく編集しないでください。
作成すると「オークション設定を作成しました」、更新すると「オークション設定を更新しました」と表示されて一覧に戻ります。保存した時点で、商品ページにオークションの情報(開始価格・日時など)が書き込まれます。編集で商品を外すと、その商品の入札・落札結果は削除されます。
入力に不足があると、次のメッセージが項目の下に表示されます。
「オークション商品一覧」は、オークションに入っている商品を商品単位でまとめた画面です。

「オークション商品詳細」の画面は、見出しが商品名になります。

終了して落札者が決まったオークションには「落札結果」のカードが並びます。

繰り上げると、元の落札者には「落札が取り消されました」というメールが、新しい落札者には落札通知が、運営者には管理者向けの落札通知が送られます。決済が済んだ落札は繰り上げできません。
「入札履歴一覧」には、すべての入札が新しい順に並びます。

入札を消すときは、チェックを入れて「入札履歴を削除」を押します。「入札履歴を削除しますか?」「入札履歴を削除すると、顧客が入札したデータが削除されます。削除された入札はもとに戻すことができません。」の確認で「削除する」を押すと「入札履歴を削除しました」と表示されます(やめるときは「キャンセル」)。落札が決まった入札を含めると「落札が決定している入札は削除できません」と表示され、削除されません。入札が無いときは「入札がありません」と表示されます。
「顧客一覧」には、一度でも入札したお客様が並びます(Shopify のすべての顧客ではありません)。


ブラックリストはメールアドレス単位で効きます。登録しても過去の入札は消えませんが、終了時の落札者の決定からは外れます。入札したお客様がまだいないときは「顧客がいません」と表示されます。
「メール設定」では、アプリが自動で送るメールの宛先・件名・本文を編集できます。すべてのメールは初期状態で「送信する」になっています。編集すると保存バーが出るので「保存する」で保存し(「破棄」で取り消し)、「メール設定を保存しました」と表示されれば完了です。

左の一覧で「管理者向け」の「開始通知」「落札通知」、「顧客向け」の「落札通知」「高値更新通知」「入金依頼」を切り替えます。それぞれに「ON」「OFF」の状態が表示されます。





{button} を書いた位置にボタンが入り、書かなければ末尾に付きます。なお {shopName}(ストア名)は、myshopify.com の前の部分(ストアのドメイン名)になります。画面下の「テストメール送信」で「送信先メールアドレス」を入れて「テストメールを送信」を押すと、いま選んでいる種類のメールを、保存前の編集内容のまま見本の値で送れます(件名の先頭に[テスト]が付きます)。送れたら「テストメールを送信しました」と表示されます。
左メニューの「設定」を開くと「基本設定」の画面になります。

「テーマを選択してストアにオークション機能を追加します。」と書かれたカードです。「テーマのバージョンによっては、選択欄が空欄になる場合があります。その際は、右下の「ご利用ガイド」を参照して手動で追加してください。」とあるとおり、テーマが選べないときはこのガイドの「ストアフロントの設定」を見て手動で追加してください。
その下に「「テーマに追加」をクリック後、アプリブロックの自動追加が失敗する場合は、右下よりご利用ガイドを参照してアプリブロックの手動追加をお試しください。」という案内が表示されます。
「アプリの管理画面の言語を選択してください。」と書かれたカードです。「言語を選択」で 20 言語から選び「変更する」を押すと、管理画面の表示言語が変わります。この設定はお使いのブラウザに保存されます。設定していないときは Shopify 管理画面の言語に合わせて表示されます。
画面の下には、UnReact のほかのアプリを紹介する「おすすめアプリ」が表示されます(右上の × で閉じられます)。
管理画面の「設定」で「テーマに追加」を押すと、テーマエディタがデフォルト商品テンプレートを開いた状態で起動し、商品情報セクションの末尾に「オークションフォーム」ブロックが入ります。この時点ではまだ反映されておらず、右上の「保存」を押して初めてストアに出ます。

自動で入るのはオークションフォームだけで、それ以外のブロックはテーマエディタの「ブロックを追加」→「アプリ」タブから自分で追加します。

ここからはテーマエディタで設定できる項目を、ブロックごとに全部紹介します。設定名は画面の表記のまま、括弧の中に種類と既定値、選べる範囲を書いています。
カウントダウン、価格の表、入札フォーム、入札履歴をまとめて出す中心のブロックです。開始前・開催中・終了後で表示が自動で切り替わります。










文字の行だけで状況を伝える軽量なブロックです。行ごとに表示する時期を選べるので、コレクションページの商品カード付近などにも置けます。





文字付きのボタンで、ウォッチリストへの追加と削除を切り替えます。オークション対象でない商品にも使えます。




ハート・星・ブックマークのアイコンだけで、ウォッチリストを出し入れするブロックです。
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ログイン中のお客様がウォッチリストに入れた商品を一覧で見せるブロックです。固定ページと旧来のお客様アカウントページにだけ置けます。



新しいお客様アカウントのマイページ(プロフィール)には「入札履歴」と「ウォッチリスト」を置けます。Shopify 管理画面の「設定」→「お客様アカウント」→「カスタマイズ」→ 使用中の設定の「編集」と進み、ページを「プロフィール」に切り替えて「ブロックを追加」から選びます。

どちらのブロックも、設定パネルには「Heading」「Empty title」「Empty description」の 3 項目があり、空欄なら購入者の言語に合わせた既定の文言が使われます。入札履歴はタブ「すべて」「開催中」「落札」「終了」で絞り込め、ウォッチリストは「カード表示」「リスト表示」を切り替えられます。落札したお客様のウォッチリストには「落札しました」と「入金する」ボタンが表示されます。アプリを入れ直すと配置が外れるので、再インストール後は置き直してください。


参考までに、オークションの一部をテーマのコードだけで作るとどうなるかを見てみます。まずは一番手軽な「終了までのカウントダウン」です。商品メタフィールドに終了日時(ここでは custom.auction_end_at)を入れておき、Liquid でその値を JavaScript に渡します。
{% assign end_at = product.metafields.custom.auction_end_at %}
{% if end_at %}
<div class="my-countdown" data-end="{{ end_at | date: '%Y-%m-%dT%H:%M:%S%z' }}">
<span data-remaining></span>
</div>
{% endif %}
date フィルタで ISO 形式に整えておくと、JavaScript の Date でそのまま読めます。メタフィールドが空の商品では何も出力しないよう、if で囲んでいます。
次に、1 秒ごとに残り時間を計算して書き換える JavaScript です。
document.querySelectorAll('.my-countdown').forEach((el) => {
const end = new Date(el.dataset.end).getTime();
const out = el.querySelector('[data-remaining]');
const tick = () => {
const ms = Math.max(0, end - Date.now());
const d = Math.floor(ms / 86400000);
const h = Math.floor((ms % 86400000) / 3600000);
const m = Math.floor((ms % 3600000) / 60000);
const s = Math.floor((ms % 60000) / 1000);
out.textContent = ms ? `残り ${d}日 ${h}時間 ${m}分 ${s}秒` : '終了しました';
if (ms) setTimeout(tick, 1000);
};
tick();
});
ここまでは数十行で作れます。ただし、これはあくまで「時計」です。実際のオークションには、入札額が最低額を満たしているかをサーバーで確かめる処理、同時に入札が来たときの順番の制御、上限額を使った自動入札、終了時に最高額の入札者を決めて落札価格の請求書を作る処理、上回られたお客様へのメール通知が必要になります。どれもテーマのコードだけでは作れず、外部のサーバーとデータベースを用意して保守し続けることになります。
入札の受付から落札後の請求までを自前で用意する手間を考えると、まずはアプリで始め、運用しながら見せ方をテーマエディタの設定で調整していくのが現実的です。
すでに Auction Today や Tipo Product Auction、Auction Pro といった海外製のオークションアプリを使っていて、シンプルオークションへの切り替えを考えている方もいると思います。ここでは、画面の説明を踏まえた切り替えの手順をまとめます。
2 つのアプリを入れたまま同じ商品をそれぞれのオークションに登録すると、商品ページに入札フォームが 2 つ並び、別々の価格で入札が進んでしまいます。切り替え期間中は「この商品はどちらのアプリで出すか」を商品ごとに決め、片方のアプリのオークションにだけ登録してください。シンプルオークションの側は、オークション設定の商品設定に入れた商品でしかブロックが表示されないため、登録しない商品には何も出ません。
入札が入っているオークションを途中で別のアプリに移すと、それまでの入札履歴や上限額は引き継げません。開催中のものは元のアプリで最後まで終わらせ、新しく始めるオークションからシンプルオークションに切り替えるのが安全です。
海外製アプリの多くはテーマのアプリ埋め込みを有効にして動くため、使わなくなったらテーマエディタの「アプリ埋め込み」でオフにしておきましょう。また、シンプルオークションのオークションフォームには「カートボタンを非表示」の設定がありますが、他のアプリが独自にカートボタンを隠している場合は二重の指定になることがあります。切り替え後は商品ページを実際に開き、カートボタンと価格の表示が意図どおりかを確認してください。
入札するにはストアへのログインが必要なので、切り替えのタイミングで「入札にはアカウント登録が必要です」と告知しておくと、当日の問い合わせを減らせます。マイページに入札履歴とウォッチリストのブロックを置いておけば、お客様が自分の入札状況を確認する場所もできます。
シンプルオークションは、値付けが難しい一点物や限定品を、お客様同士の競り合いで売るための日本製アプリです。開始価格と期間を決めて商品を選べば、商品ページにカウントダウンと入札フォームが並び、終了後は下書き注文と支払い案内のメールまで自動で用意されます。
設定項目は多いものの、ほとんどは見た目や文言の調整で、最低限必要なのは「メール設定の管理者メールアドレス」「オークション設定」「テーマへの追加と保存」の 3 つだけです。まずは 7 日間の無料体験で、テスト用のオークションを一つ開いてみてください。
オークションと組み合わせると便利な、UnReact の Shopify アプリを紹介します。