
「あと少し買えばノベルティが付く」と知っていれば手を伸ばしたのに、気づかないままチェックアウトへ進んでしまう。客単価を上げる施策としてよく使われる購入特典は、お客様に残り金額が見えて初めて効果が出ます。一方でお店の側には、告知の準備だけでなく、達成した注文にギフトを同梱する手配や、送料無料の条件設定という作業が残ります。
シンプルあといくらで無料ギフト|お手軽送料無料プログレスバーは、この一連の流れを 1 つの設定にまとめる Shopify アプリです。カート金額のしきい値と特典の内容を決めておくと、ストアの全ページとカートドロワーに進捗が出て、達成した瞬間に無料ギフトがカートへ入り、送料無料も適用されます。
この記事では、管理画面の 2 画面とテーマエディタの全設定を 1 つずつ見ていきます。あわせて、画面だけでは読み取れない判定の仕組みや、導入前に知っておきたい弱点も隠さず書きました。
カートの金額に応じて最大 5 つの特典を設定できる、購入特典の自動化アプリです。特典にできるのは「無料ギフト」と「送料無料」の 2 種類に絞られています。値引きの段や、個数を条件にした特典はありません。
動きを支えているのは 3 つの部品です。
データの保存先は Shopify のメタフィールドだけで、顧客や注文の情報には触れません。そのため、保護された顧客データの申請が絡む心配もありません。
掲載画像で全体の流れを見ると、次のようになります。


導入してお店が得られる変化を、運用の目線で整理します。
合わない条件もはっきりしています。導入前に確認しておくと、後で慌てずに済みます。
料金は Basic Plan の 1 種類です。Shopify App Store では閲覧者の通貨に換算して表示されます(日本語のページでは円表示)。
Shopify 管理画面の左下にある「設定」から入ります。

「アプリと販売チャネル」を開き、Shopify の App Store へ進みます。

アプリのページで「インストール」を押し、権限を確認すれば完了です。アプリ名で探しても見つかりにくいときは、Shopify App Store のページを直接開くのが確実です。

求められる権限は、テーマの読み取り、商品の読み書き、ディスカウントの読み書きです。商品の書き込みはギフト商品を隠すために、ディスカウントの書き込みは自動割引を作るために使います。
管理画面のサイドバーには「特典の設定」と「設定」が並びます。ご利用ガイドの URL が設定されているアプリなので、右下に案内のリンクも出ます。「アプリ一覧」は自社アプリを紹介するページです。日本語表示で記事が登録されているときだけ「よくある質問」も加わります。
実質的な操作は 2 画面で完結し、順番は「特典の設定で保存」→「設定からテーマに追加」です。

保存の状態に問題があるときだけ、画面の一番上にお知らせが出ます。何も出ていなければ正常です。
「割引を整理したら特典が効かなくなった」というときは、まずこのお知らせを見てください。
「特典を追加」で枠を増やします。上限は 5 つで、5 つに達するとボタンが押せなくなります。枠が 1 つも無いときは、「特典がまだありません」という案内が表示されます。

枠の右上にある赤いごみ箱は「この特典を削除」です。確認なしで枠が消えますが、「保存」を押すまでストアには反映されないので、間違えたら開き直せば元に戻せます。
枠ごとに、しきい値となる金額を入れます。ラベルにはストアの基準通貨が入り、日本円のストアなら 金額(JPY) と表示されます。

金額の欄で押さえたい決まりは次のとおりです。
最後の定義は運用上とても大切です。ギフトが入ったことで金額が増え、次の特典に届いてしまう連鎖は起きません。割引コードを使えば、その分だけ達成が遠のくことも、バーの表示から正しく読み取れます。
選択肢は「無料ギフト」「送料無料」の 2 つで、新しい枠では「無料ギフト」が選ばれています。

送料無料を選ぶと商品の欄は消えます。送料無料は配送割引として働くので、チェックアウトの配送方法の金額が 0 になります。ギフトの特典は複数を同時に達成でき、達成した分のギフトはすべてカートへ入ります。
無料ギフトの枠では、商品を 1 つ選びます。未選択のときは「ギフト商品が選ばれていません」と出て、「商品を選択」でピッカーが開きます。選んだあとのボタンは「商品を変更」に変わります。

ピッカーで複数のバリエーションにチェックを入れても、使われるのは先頭の 1 つだけです。枠に表示されたバリエーション名を見て、渡したいものになっているか確かめてください。選べない商品と、選べるものの止まる商品があります。
在庫切れでも購入者の画面にエラーは出ません。お客様から見れば特典が 1 つ減っただけなので、ギフトの在庫切れに気づく手段はこの画面の警告だけです。キャンペーン中は、特典の設定を定期的に開いて確かめることをおすすめします。
このカードに切り替えの項目はなく、仕組みの説明だけが載っています。

自動割引は常に併用可能な設定(商品・注文・配送のすべて)で作られます。併用不可だと、別の割引が勝ったときにギフトに定価が付いてしまい、お客様の知らないうちに合計が増えるからです。お店の側で確認すべきことは 2 点あります。
「保存」は内容を変えたときだけ押せます。初めて選んだ商品が含まれていると、「ギフト商品を非公開にします」という確認が割り込みます。

「保存する」を押すと、ギフト商品の非表示、自動割引の更新、ストアが読む設定の書き込みが順に走ります。途中で失敗すればそこで止まり、「ギフト商品を非公開にできませんでした」「割引の保存に失敗しました」「設定の保存に失敗しました」のいずれかが出ます。割引の失敗で多いのは、ストアあたり 25 件までという自動アプリ割引の上限です。
ギフトになった商品の扱いには、覚えておきたい癖があります。
保存後、ストア管理画面の「ディスカウント」には UR: Free Gift & Shipping Bar が 1 件できます。特典が 5 つあっても、割引は 1 件にまとまります。

組み合わせの列を見ると、商品・注文・配送のすべてが有効になっていることが分かります。誤って消しても、特典の設定で保存し直せば作り直されます。
サイドバーの「設定」は、テーマへの導入と言語の画面です。

先頭のカードには「テーマを選択」と 2 つのボタンがあります。

「テーマに追加」が開くのはホームページのテンプレートですが、埋め込みのためストア全体に効きます。商品ページやカートページへ別途追加する操作は要りません。
水色の案内は、動作確認の範囲を示しています。Horizon と Dawn 系で確かめており、ほかのテーマでも全ページの帯は表示されます。お使いのテーマが独自のドロワーを持つときは、インストール後すぐに実際のカートを開いて確かめてください。
「言語を選択」で管理画面の表示言語を選び、「変更する」で切り替えます。保存先はブラウザなので、別の端末では選び直しになります。お客様が見るバーの言語とは連動しません。

設定画面の「テーマに追加」を押すとテーマエディタが開きます。手動で進めるときは、テーマエディタの「埋め込みアプリ」で「シンプルあといくらで無料ギフト」をオンにして保存します。管理画面の注意書きでは「アプリ埋め込み」と呼んでいますが、同じものです。
ここで大切なのは順序です。特典を保存していないストアでは、埋め込みをオンにしても何も表示されません。 空のバーを出さないための仕様なので、「表示されない」と感じたら特典の保存を先に確かめます。
テーマエディタの設定は 6 つのグループに分かれています。どれも初期値のままで動くので、必要なところだけ触れば十分です。

表示設定 は、バーをどこに出すかを決めるグループです。
サイズ設定 は上部の帯に効きます。ドロワーのバーは固定の大きさです。

文言設定 の 4 項目は、空欄のままなら 20 言語に自動で対応します。文字を入れると、その文言が全言語のお客様に同じように出ることに注意してください。
[remaining] は残り金額、[reward] は次の特典に置き換わります。どちらも太字で強調されます。隣のラベルと重なりそうになると、手前のラベルが自動で隠れ、アイコンだけが残ります。特典を 5 つ置くときは、名前を短めにすると読みやすくなります。
![]()
アイコン設定 は種類を選ぶか、画像を上げるかの 2 通りです。
画像は色を塗り替えられません。そのため達成時の表現は、背景の塗りつぶしではなく枠を濃く太くする形に変わります。正方形で背景が透明な画像を使うと、丸の中にきれいに収まります。

色設定 には 6 色があります。
追加設定 の「追加のCSS」には、バーへ当てるスタイルを直接書けます。入力はバーを指すセレクタの内側に入るので、セレクタなしで letter-spacing: 0.05em; のようにプロパティを書きます。< の文字は安全のために除去されます。
設定の結果として、お客様には次のように見えます。例は 50 ドルで無料ギフト、650 ドルで送料無料の組み合わせです。
カートが空なら、最初の目標までの金額が出ます。

アイコンはホバー、キーボード操作、タップのいずれでも吹き出しを開きます。達成済みのギフトなら、商品名と画像、条件、「達成済み!」が並びます。何がもらえるのかを、お客様はカートに入れる前に確認できるわけです。

未達成の送料無料なら、条件の金額と残額を示します。

カートドロワーを開くと、同じバーが明細の上に差し込まれます。ギフトは取り消し線付きの元値とともに $0.00 で入っています。


カートページでは帯と明細で確認できます。合計は 0 円の行を除いた金額のまま計算されています。



全部達成すると、文言が切り替わります。

スマートフォンでも同じ構成です。「特典のアイコンと名前を表示」を切ると、高さを抑えた帯にできます。


カートの中でのギフトの動きも、知っておくと問い合わせに答えやすくなります。
設定の中で売上に一番影響するのは金額の置き方です。目安を 3 つ挙げます。
送料無料とギフトを組み合わせるときは、お店の負担が軽いほうを先に置くと、途中までの達成でも費用を抑えられます。送料の負担がギフトの原価より重いお店なら、ギフトを手前に、送料無料を奥に置く形が考えやすいでしょう。
設定を終えたら、実際のカートで一度通しておくと安心です。確認する順番は次のとおりです。
4 番は特に大切です。割引コードの併用設定によっては、ここでギフトに価格が付くことがあります。
試用後に削除するときの影響も確かめておきましょう。特典の設定と自動割引は消えますが、ギフト商品の非公開と検索エンジン非表示の指定は残ります。 アプリが権限を失ったあとでは戻せないので、商品画面で手作業で戻します。再インストールしたときは、テーマに設定が残っていても「テーマに追加」から開き直して保存しないと表示されません。
操作手順をさらに細かく確かめたいときは、Shopifyでカート金額に応じた無料ギフトと送料無料を自動で適用できるアプリについて徹底解説|ご利用ガイド も参考にしてください。
アプリを使わず、残り金額のバーを自作するとどれくらいの作業になるでしょうか。もっとも簡単な「表示だけ」の版を、テーマの Liquid と JavaScript で書いてみます。
まずセクションまたはスニペットに、表示の枠としきい値を置きます。しきい値はテーマ設定から渡すこともできますが、ここでは単純にするため固定にしています。
<div id="my-progress" data-threshold="500000">
<p id="my-progress-text"></p>
<div style="background:#e5e5e5;height:6px;border-radius:3px;">
<div id="my-progress-fill" style="background:#1a1a1a;height:6px;width:0;border-radius:3px;"></div>
</div>
</div>
data-threshold は通貨の最小単位で持ちます。/cart.js の金額が最小単位で返るため、日本円の 5,000 円でも 500000 と 100 倍で書く点が、最初につまずくところです。
次に、カートの金額を読んでバーを更新する処理です。
async function updateProgress() {
const box = document.getElementById('my-progress');
const threshold = Number(box.dataset.threshold);
const cart = await (await fetch('/cart.js')).json();
const rest = Math.max(threshold - cart.total_price, 0);
const percent = Math.min((cart.total_price / threshold) * 100, 100);
document.getElementById('my-progress-fill').style.width = percent + '%';
document.getElementById('my-progress-text').textContent =
rest > 0 ? 'あと ' + rest / 100 + ' ' + cart.currency + ' で特典' : '特典を獲得しました';
}
updateProgress();
これでページを開いたときの表示はできますが、実用にはまだ足りません。カートの内容が変わったときにテーマごとの方法で再実行する処理が要りますし、ギフトを金額に含めない計算や、表示通貨の書式も必要です。
さらに、ギフトを実際に付けるには別の仕組みが要ります。カートへの追加は /cart/add.js で書けますが、0 円にする部分はテーマのコードではできません。Shopify Functions で割引を作るには、アプリとして開発してデプロイする必要があります。在庫切れのギフト、手で消されたギフト、同時に走るカート操作の順序、テーマの再描画まで考えると、保守の負担は小さくありません。
「残り金額を見せるだけ」なら自作も現実的です。ギフトの付与と送料無料まで含めるのであれば、月額 5.49 ドルのアプリに任せるほうが、総合的な負担は軽くなるはずです。
BOGOS や Kite のような BOGO 系アプリ、Turbo Cart Progress Bar や Yaco Progress Bar のようなバー系アプリとの選び方を、併用の観点で考えます。社内にも、シンプル送料無料バー|あといくらで送料無料表示とシンプルノベルティ|お手軽ギフト特典という近いアプリがあります。
判断の順番は次の 3 段階がおすすめです。
併用するときは、次の設定に気をつけてください。
シンプルあといくらで無料ギフト|お手軽送料無料プログレスバーの強みは、機能の多さではなく、「金額を決めれば、告知も付与も適用も揃う」という単純さにあります。値引きや個数条件を諦める代わりに、設定する画面は 2 つで済みます。
始めるときは、平均注文額の少し上に特典を 1 つ置くのがよいでしょう。達成率を見ながら、2 つ目の特典を足していくと、客単価の変化も読み取りやすくなります。アプリの詳細と無料体験は Shopify App Store から確認できます。
購入特典やカート周りの施策に合わせやすい自社アプリを紹介します。