Shopify の「新しいお客様アカウント」は、ログイン後のマイページを Shopify 側が描画する仕組みです。テーマを触っても手が入らないため、多くのストアでは注文履歴とプロフィールが並ぶだけの、どこも同じ画面になっています。
そこに一枚だけ画像を置けるようにしたのが「シンプルマイページバナー|お手軽顧客アカウント画像」です。管理画面でバナー画像をアップロードして URL をコピーし、お客様アカウントのエディタでブロックに貼り付けると、プロフィール・注文一覧・注文状況の 3 ページにバナーが表示されます。設定はブロック 1 つにつき 4 項目しかありません。
この記事では、このアプリの管理画面をすべての画面・すべての項目について画像付きで解説し、エディタ側の設定、実装からしか分からない制約、自作する場合のコード、競合アプリとの比較まで書きます。手順そのものは Shopifyで顧客アカウント(マイページ)に画像バナーを表示できるアプリについて徹底解説|ご利用ガイド にまとめてあるので、ここでは「なぜそうなっているか」「どう使い分けるか」に比重を置きます。
「シンプルマイページバナー|お手軽顧客アカウント画像」は、UnReact が開発した Shopify アプリで、新しいお客様アカウント(マイページ)の 3 つのページに画像バナーを表示します。Customer Account UI Extension という Shopify の仕組みの上に作られており、テーマ拡張(Liquid)は持ちません。
対象になるページは次の 3 つです。

アプリが持つ機能を先に整理しておきます。
逆に、持っていない機能もはっきりしています。顧客タグや購入回数による出し分け、表示期間の予約、文言だけのバナー、FAQ やお問い合わせフォームといったブロックはありません。画像を一枚置くことに絞ったアプリです。
マイページを開くのは、ログインしているお客様だけです。広告のようにお金をかけて届けるのではなく、すでに買ってくれた人が自分から開く画面にバナーが出ます。会員限定セール、ポイントの案内、次回の送料無料といった「もう一度買ってもらう」ための告知に向いています。
新しいお客様アカウントはテーマの外にあり、バナーもエディタ側のブロックとして保存されます。テーマを乗り換えても、テーマエディタで何かを消してしまっても、マイページのバナーはそのまま残ります。
設定はブロック単位で保存されるので、注文直後に見る注文状況のページと、久しぶりに開くプロフィールで、見せる内容を変えられます。

アップロードした画像は Shopify の「コンテンツ → ファイル」に保存されます。アプリ独自のサーバーを経由しないので、アプリ側の障害で画像が消えることはなく、アプリを削除しても画像は残ります。
エディタのブロック設定は、画像 URL(スマートフォン用)・画像 URL(PC 用)・リンク URL・代替テキストの 4 つだけです。管理画面もアップロードと URL のコピーだけなので、慣れていない担当者でも迷いにくい作りです。
マイページはログイン後の画面なので、初めて来たお客様やゲスト購入のお客様には届きません。トップページのバナーの代わりにはならず、リピーター向けの施策として使うものです。
このアプリは新しいお客様アカウント専用です。Shopify 管理画面の「設定 → お客様アカウント」で従来のアカウントを使っているストアでは、ブロックを置く場所そのものがありません。先に新しいお客様アカウントへ切り替える必要があります。
ブロック設定の項目名(Banner image URL など)は英語で固定です。これはアプリの手抜きではなく、お客様アカウント向けのブロックでは翻訳の仕組みが用意されていないという Shopify の仕様で、日本語に切り替えることができません。アプリ側の管理画面は日本語なので、初期設定ガイドで補っています。
顧客タグ・購入回数・注文金額といった条件でバナーを変えたり、キャンペーン終了日に自動で消したりする機能はありません。終わったキャンペーンのバナーは、エディタでブロックを削除するか URL を差し替えて対応します。
料金は Basic Plan の 1 種類で、月払いと年払いを選べます。
プランによる機能の違いはなく、置けるブロックの数や画像の枚数に上限もありません。料金は Shopify App Store のページで確認できます。
インストールは Shopify の他のアプリと同じ流れです。


管理画面の「設定」から「アプリと販売チャネル」を開き、Shopify App Store で「Customer Accounts Banner」を検索します。公開直後は検索結果に出ないことがあるので、その場合は Shopify App Store のアプリページを直接開いてください。

「インストール」を押すと権限の確認画面が開きます。このアプリが求める権限はファイルの読み書きだけで、顧客情報や注文情報へのアクセスは要求しません。続けて料金プランを選ぶと、アプリの設定画面が開きます。
管理画面は 3 つの画面でできています。

サイドバーの項目は「設定」「初期設定」の 2 つで、よくある質問は表示言語と登録内容の条件がそろったときだけ 3 つ目として現れます。
設定画面のいちばん上にあるカードです。「初期設定ガイドへ」ボタンを押すと、次の節で説明する初期設定ページに移動します。カードの下に小さく「本アプリは新しいお客様アカウント専用です。従来のお客様アカウントには対応していません。」と書かれていて、この一文がこのアプリの前提条件のすべてです。
このアプリの中心になるカードです。ここで発行した URL を、あとでエディタに貼り付けます。

操作は 2 段階です。まず点線の枠に画像をドラッグするか、「画像を追加」を押してファイルを選びます。これが画像を選ぶ操作で、選んだ直後に実際の表示に近い全幅のプレビューとファイル名が枠の上に出ます。

次に「アップロードする」を押します。画像を選ぶまでこのボタンはグレーで押せません。押すと画像は Shopify の「コンテンツ → ファイル」に保存され、「画像をアップロードしました」と表示されてプレビューが消え、下の一覧の先頭に行が増えます。
実装を読んで分かる制約を挙げておきます。画面には出てこないものばかりです。
#1200x300 のように画像の横幅と高さが付きます。マイページ側はこの数字から縦横比を決めているので、貼り付けるときに消さないでくださいアップロードした画像の一覧です。新しいものが上に来ます。

1 行に並ぶ要素はこの 4 つです。

削除で消えるのはアプリの一覧からだけで、Shopify のファイル自体は残ります。その URL を貼ってあるバナーも表示され続けるので、間違えて消しても慌てる必要はありません。一覧の件数に上限はありません。
アプリの管理画面の表示言語を切り替えるカードです。「言語を選択」のプルダウンから選び、「変更する」を押すとその場で切り替わります。

対応しているのは日本語・英語・ドイツ語・フランス語・スペイン語・イタリア語・ポルトガル語(ブラジル/ポルトガル)・中国語(簡体字/繁体字)・韓国語・オランダ語・ポーランド語・トルコ語・スウェーデン語・ノルウェー語・デンマーク語・フィンランド語・チェコ語・タイ語の 20 言語です。
言語を変更する操作で選んだ値はブラウザに保存されます。別の端末や別のスタッフアカウントで開くと Shopify 管理画面の言語に合わせた初期状態に戻るので、その端末でもう一度選んでください。ここで変えられるのはアプリの管理画面だけで、エディタのブロック設定のラベルは変わりません。
同じ開発元の他のアプリの一覧です。バナーの動作には関係ありません。

右上の × でおすすめアプリを閉じると、24 時間は表示されません。日本語表示のときは日本語の名前と説明、それ以外の言語では英語の情報が出ます。
サイドバーの「初期設定」、または設定画面の「初期設定ガイドへ」から開きます。バナーが表示されるまでの手順が 6 つ並んでいて、手順 1・3・4・5 にはスクリーンショットが付いています。

手順の見出しはこのとおりです。

手順 2 の「エディタを開く」を押すと、Shopify の「設定 → チェックアウト → カスタマイズ」を経由せずに、お客様アカウントのエディタがプロフィールページを開いた状態で新しいタブに開きます。エディタの場所を探し回る必要がありません。

手順 6 の「設定画面へ」で設定画面に戻ります。注文一覧や注文状況にも置くときは、同じ手順を繰り返します。
管理画面の表示言語が日本語で、かつ開発元が質問を登録しているときだけ、サイドバーに「よくある質問」が出ます。質問をクリックすると回答が開き、もう一度押すと閉じます。質問を開閉するほかに操作はなく、英語など他の言語ではこの項目自体が表示されません。
このアプリはテーマ拡張を持たないので、テーマエディタで「アプリブロックを追加」する操作はありません。代わりに、お客様アカウントのエディタでブロックを追加します。

エディタの開き方は 3 通りあります。

ブロックを置けるのは「Main」の中です。「Add block」を押すと追加できるブロックの一覧が開き、「UR: Customer Accounts Banner」を選ぶと Main の末尾に追加されます。

左側の一覧でブロックを上下にドラッグすると並び順が変わります。「Customer contact」より上に置けば名前の上に、「Addresses」より下に置けば住所の下にバナーが出ます。エディタ左上の Apps タブからも、配置済みの数を見ながら追加できます。

ブロックの設定はページごとに独立しているので、プロフィールで設定した内容は注文一覧には引き継がれません。ページを切り替えるたびに追加と設定を行ってください。変更は右上の「Save」を押すまで反映されず、Save の前に別のページへ移動すると破棄されます。
ブロックを選ぶと「Block settings」に 4 つの入力欄が出ます。いずれも 1 行のテキスト入力で、必須指定も初期値もありません。

画像 URL には、管理画面の「URLをコピー」で取った値をそのまま貼ります。末尾の #1600x400 のような部分が縦横比の情報で、これが無い URL を貼ると正方形(1:1)で表示され、横長バナーの上下に余白が出ます。Shopify のファイル画面から取った URL や外部の画像 URL を使うときは、末尾に #横x縦 を手で足してください。
PC とスマートフォンの切り替えは、画面の幅ではなくバナーが置かれた枠の幅で判定します。しきい値は 400px で、実際のマイページでは PC の本文カラムが 435〜660px、スマートフォンが 340px 前後なので、ほぼ端末どおりに切り替わります。縦横比は画像ごとに別々に計算されるため、PC 用は横長、スマートフォン用は正方形に近い画像、という組み合わせもできます。


入力欄に URL の形式チェックはありません。誤った URL でも保存はでき、その場合はマイページに何も出ないか壊れた画像になるので、Save の前にプレビューで確かめてください。ブロックを外すには「Remove block」を押してから Save します。

新しいお客様アカウントは Liquid でカスタマイズできません。テーマの customers/account.liquid を編集しても、新しいお客様アカウントには反映されないためです。自作するなら、Shopify CLI で Customer Account UI Extension を作ることになります。
まず、拡張の設定ファイルで「どのページに置けるか」を宣言します。このアプリと同じく 3 ページに置くなら、同じモジュールを 3 つのターゲットに結び付けます。
api_version = "2026-01"
[[extensions]]
name = "My Account Banner"
handle = "my-account-banner"
type = "ui_extension"
[[extensions.targeting]]
module = "./src/Banner.tsx"
target = "customer-account.profile.block.render"
[[extensions.targeting]]
module = "./src/Banner.tsx"
target = "customer-account.order-index.block.render"
[[extensions.targeting]]
module = "./src/Banner.tsx"
target = "customer-account.order-status.block.render"
[extensions.settings]
[[extensions.settings.fields]]
key = "image_url"
type = "single_line_text_field"
name = "Image URL"
targeting で指定した 3 つがエディタの「Add block」に出てくる場所で、settings.fields がブロック設定の入力欄になります。ここで使える型は 1 行テキスト・複数行テキスト・数値・日付・真偽値・バリエーション参照だけで、テーマ拡張にある画像ピッカーはありません。画像を URL で受け取る形になるのはこのためです。
次に、ブロック本体です。お客様アカウントの拡張では素の img タグは描画されず、Polaris Web Components(s-image など)を使う必要があります。
import '@shopify/ui-extensions/preact';
import { render } from 'preact';
export default async () => {
render(<Banner />, document.body);
};
function Banner() {
const url = shopify.settings.value?.image_url as string | undefined;
if (!url) return null;
// URL 末尾の #横x縦 から縦横比を決める(無いと 1:1 で描画される)
const m = url.match(/#(\d+)x(\d+)$/);
const aspectRatio = m ? `${m[1]}/${m[2]}` : undefined;
return (
<s-image src={url} alt="" inlineSize="fill" objectFit="cover" aspectRatio={aspectRatio} />
);
}
shopify.settings.value にエディタで入力した値が入ってきます。s-image は aspectRatio を指定しないと正方形で描画されるので、URL に埋めた寸法から比率を作っています。ここまでで「画像を 1 枚出す」だけの最小構成です。
ただし、自作には拡張のコード以外の作業が付いてきます。
shopify app deploy で拡張を配信し、API バージョンが上がるたびに追随するs-query-container と @container クエリで組む「画像を一枚置く」ために、アプリ 1 本ぶんの開発と保守を抱えることになります。月額 $3.99 のアプリを入れるのと、どちらが安いかは分かりやすいと思います。
新しいお客様アカウントにブロックを置けるアプリは、他にもいくつかあります。ここでは 4 本を開発ストアに実際にインストールして、管理画面を確かめました。




開発ストアに入れて触ったときのメモです。
ブロックの種類と条件表示が豊富で、テンプレートから作り始められます。画像を大きく見せる用途より、文言+ボタンの案内を出し分けたいストア向けです。
![]()


インストールして管理画面を開いた結果、次のことが分かりました。
無料で始められ、ブロックの種類がもっとも多いアプリです。バナーだけでなく注文まわりの受付機能まで一つで揃えたいストアに向きます。


実際に触ってみて気づいた点を並べます。
月額 $1 で画像バナーと色付きバナー、商品・コレクションの表示まで揃う軽量なアプリです。設定はすべてエディタ側なので、アプリの管理画面はほぼ触りません。



入れて確かめた内容は次のとおりです。
条件による出し分けや専用ページの作成まで含む多機能型です。画像バナーは有料プランからなので、バナーだけが目的なら割高になります。
条件による出し分けや FAQ まで含めて一つで済ませたいなら Customer Account Blocks や SureCust、画像を一枚しっかり見せたいだけなら「シンプルマイページバナー」か Toolbox、という分かれ方になります。
マイページは、すでに買ってくれたお客様がもう一度開く場所です。「シンプルマイページバナー|お手軽顧客アカウント画像」は、そこに画像を一枚置くことだけを、管理画面のアップロードとエディタの 4 項目で完結させています。
出し分けや期間指定が要らないストア、まず一枚置いて反応を見たいストアには、いちばん短い道です。7 日間の無料体験があるので、Shopify App Store から入れて、プロフィールページに一枚置くところから始めてみてください。
UnReact の他のアプリも紹介します。どれも「シンプル〇〇|お手軽△△」の名前で、設定を絞った作りになっています。