今回の記事では、Shopify App Store で提供されている「配送方法を保留にする」ためのアプリについて解説します。配送方法を保留にする機能は、商品の出荷タイミングを柔軟に調整できるため、多くのストアで重宝されています。たとえば予約販売や受注生産商品のように、他の商品と同じタイミングで送れないケースや、注文後に確認が必要なケースでも、配送方法を保留にすることでスムーズに対応できます。
「配送方法を保留にする」とは、特定の商品や注文条件に応じて、注文の発送ステータスをすぐに確定せず、一時的に保留にしておく機能を指します。たとえば、在庫が確保できていない商品や、受注生産品、あるいはリードタイムを調整したい商品などに対して、配送を一括で行わずに、後から別途発送処理を行いたい場合に役立ちます。
通常、商品がカートに追加された段階で、配送方法が確定(または仮決定)されますが、この機能を使うことで「すぐに出荷しない」という対応が可能になります。
リードタイムの調整が容易
受注生産や予約販売のように、仕入れや生産に時間がかかる商品の発送タイミングを柔軟にコントロールできます。
キャンセルリスクの軽減
在庫が確保できないまま予約を受け付ける場合でも、一時保留とすることで顧客への不安やキャンセルリスクを抑えられます。
オペレーション負荷の低減
商品ごとに出荷時期を変えたり、まとめて出荷したりする運用がしやすくなり、スタッフの手動管理の手間を削減します。
顧客対応の向上
予約注文や特別注文の商品が含まれていても、顧客に「いつ出荷されるか」について分かりやすい説明ができます。顧客サポートにおいても対応がスムーズです。
在庫管理の最適化
一時的に在庫状況を確認してから発送手続きを行えるため、誤出荷や在庫数の誤差を防ぎやすくなります。
配送方法を保留できるアプリを選定する際は、以下のポイントが重要です。
特定の商品やタグ、条件に応じて保留ステータスへ切り替えられるか
商品タグや顧客タグ、特定の配送方法などを基準に、自動で保留にするルールを設定できると便利です。
多言語対応や日本語サポートの有無
日本語での管理画面やサポートがあると、問い合わせや設定ミスを防ぎやすくなります。
管理画面の使いやすさ
直感的に設定が行える、または既存のShopifyテーマやチェックアウトとシームレスに連携できるかどうかをチェックします。
価格プランが明朗かどうか
機能が必要以上に多く、月額料金が高いプランでなくても十分なケースがあります。必要な機能を見極めましょう。
予約注文や出荷時期の異なる商品に対応できるか
複数の商品に対し、それぞれ保留期間やフローを別々に設定したい場合は、条件分岐が柔軟なアプリが望ましいです。
ここからは、Shopify App Store で公開されている代表的な「配送方法を保留」系アプリを紹介します。アプリの特徴、機能、価格などをまとめているので、自分のストアに合ったものを選んでみてください。
特定商品を含む注文を自動で保留ステータスへ切り替え、リードタイムを最適化。
(開発者:株式会社UnReact)
Basic Plan: $9.99/月
以下のShopify公式のアプリストアからインストールできます。
条件に応じて配送方法を非表示にしたり、制限をかけたりできるアプリ。
(開発者:KlinKode)
Free Development
All in One Monthly: $4.99/月
チェックアウト時の配送・支払い方法を条件付きで表示/非表示/並び替えできる便利ツール。
(開発者:StoreSpark)
Free
Starter: $4.99/月
Advanced: $12.99/月
Premium: $29.99/月
配送方法を直接保留するアプリではありませんが、送料無料のプロモーションを行い、送料を実質的に調整できる。
(開発者:Hextom)
Basic: 無料
Premium: $9.99/月
Checkoutでの制御が細かくできる多機能アプリ。支払い方法や配送方法の非表示、上限・下限設定、追加料金など多彩。
(開発者:Blockify)
FREE
BASIC: $9.99/月
PREMIUM: $19.99/月
SHOPIFY PLUS: $59.99/月
支払い・配送方法の「非表示」「並び替え」「リネーム」が簡単にできるアプリ。
(開発者:Growthpolis)
Free
Basic: $3.99/月
Pro: $6.95/月
月額料金や無料期間など、ざっと比較すると以下のような特徴があります。(テーブルは使わず、箇条書きで紹介します)
日本語対応のサポートの有無は、安心してアプリを導入できるかを左右する重要なポイントです。上記アプリの中では「シンプル配送保留|お手軽商品ごとの配送保留」が日本語対応サポートを提供しています。また、「Hextom: Free Shipping Bar」は多言語サポートの一環として日本語対応していますが、サポート体制が英語メインの場合もあるので詳細は事前確認がおすすめです。
使い方が直感的で日本語対応もあるという点で、もっとも「使いやすい」のは「シンプル配送保留|お手軽商品ごとの配送保留」です。管理画面が日本語で完備されており、分かりやすい UI とヘルプドキュメントが魅力です。日本語でのサポート窓口もあるため、導入やトラブル時にも安心できます。
Shopify アプリを使わなくても、Shopify Functions や Scripts (Shopify Plus) を利用して独自に配送方法の「保留」を再現する方法があります。ここでは簡単なイメージコードを紹介します。
下記の例は Shopify Functions(Delivery customization)を想定した擬似的なコード例です。商品タグ「preorder」が含まれる場合は配送方法を保留にする(あるいは非表示にする)というイメージで書いています。
import {
DeliveryCustomizationInput,
DeliveryCustomizationResult,
registerDeliveryCustomization,
} from '@shopify/delivery-customizations';
registerDeliveryCustomization('hold-shipping-on-preorder', {
async onDeliveryMethods(
input: DeliveryCustomizationInput
): Promise<DeliveryCustomizationResult> {
const cart = input.cart;
const shippingMethods = input.deliveryMethods;
// "preorder" の商品タグが含まれていれば配送を保留(ここでは配送オプションを非表示にする例)
const hasPreorderProduct = cart.lines.some(line =>
line.merchandise?.product?.tags?.includes('preorder')
);
if (hasPreorderProduct) {
// 配送方法を全て非表示にして保留状態にする
return {
deliveryMethods: [],
};
} else {
// 通常通り配送方法を表示
return {
deliveryMethods: shippingMethods,
};
}
},
});
上記コードはあくまでイメージです。実際には自分のストア要件に合わせて、より細かい条件やロジックを実装する必要があります。また、Shopify Functionsを使う場合は対応プランであること、Shopify Plusでないと利用できない仕組み(Scriptsなど)もあるため、事前に開発環境やプランの確認が必要です。
今回は、Shopifyで配送方法を保留にするための6つのアプリと、簡単なコーディング実装方法について紹介しました。もし「特定の商品だけ出荷タイミングを遅らせたい」「予約販売商品をまとめて管理したい」といったニーズがあれば、ぜひこれらのアプリの活用を検討してみてください。まずは無料体験プランや開発ストア向けのフリープランを使って試し、運用にマッチするかどうかを確かめるのがおすすめです。
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。これらのアプリや実装事例をもとに、快適な発送管理・配送方法の保留を実現していただければ幸いです。